(2c) アルカンの高効率官能基化へ向けた触媒開発(特に脱水素化)
(2c-1) 研究項目2aにて示した含ホウ素ピンサーIr錯体のうち、iPr基が置換したPBP-Ir錯体はアルカンの脱水素移動触媒反応に活性を示すことを明らかにした。触媒活性は世界最高の触媒には及ばないが、ホウ素配位子を持つ錯体がアルカンの脱水素化触媒として利用された初めての例となる。また、含ホウ素ピンサー配位子のアルキルホスフィン側鎖を長くした誘導体を触媒として用いてアルカンの脱水素化を行うと、触媒活性が約3倍に向上した。他にも配位原子が窒素やアルミニウムの配位子を合成することでさらなる高活性触媒の開発を検討している。
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3) Kwan, E. H.; Ogawa, H.; Yamashita, M. ChemCatChem 2017, 9, 2457-2462. doi
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